新型コロナウイルス対策として
ステイホームが叫ばれていますが、
あなたのお家は安心・安全ですか?
この「マイホーム診断」をご参考に!
内覧会の同行
不具合チェック
(マンション・戸建て住宅)
1.図面・仕様書
販売用パンフレットの図面・仕様書と、実際の建物とに、相違はないか?
2.建具・隙間
建具にガタつき、隙間はないか?
- サッシュのクレッセント(鍵)は、固いくらいにしっかりと締まるか? 緩いと強風でガタつき、台風のときに雨が侵入し、防音効果も落ちる。
- 網戸に破れはないか? 戸車が、レールから外れないか?
- 室内のドア・引き戸は、軽々と動かせるか? 音がしないか?
- 戸当たり・あおり止めは付いているか?
3.床・クロス・塗装
床のフローリング、壁のクロス・塗装など、すべての仕上げ材に、汚れ・傷・剥がれ・塗りムラなどがないか?
4.音の振動・床なり
上下階の音・振動が伝わらないか?床鳴りが しないか?
5.水平・垂直
床は水平か?壁は垂直か?
- レーザーレベルにより、ミリ単位で計測。 傾斜が 3/1000 以上の場合は、瑕疵 である可能性が高いので、改善を指摘。
6.電気工事
電気工事
- 照明器具・スイッチ・コンセント類の位置は図面どおりか?
- 換気扇(キッチン・浴室・トイレ・24時間換気)の異常音はないか?
7.給排水工事
給排水工事
- 給水・排水の位置は図面どおりか? 屋外栓を忘れていないか?
- 水栓の締まり具合、シンク類の水はけは良好か? 水漏れは ないか?
- お湯が出るまでの時間は適当か? 給湯機は異常な音がしないか?
8.設備機器
設備機器
- キッチン・洗面台・クローゼット等の扉・引き出し類の開閉具合は?
- 戸棚類の棚板は、ガタついていないか。枚数は揃っているか?
9.バルコニー
バルコニー
- 床仕上げ材に、めくれ、傷はないか?
- 物干し金物の上げ下げは、スムーズか?
- 避難器具等は、まれに作動不良のこともあり、 入居後にはテストできない(下の階に迷惑) ので、この機会にぜひ実際に試してみよう。
10.改善結果の確認
指摘事項の改善結果を確認するために、必ず再度の内覧を申し入れる。
11.建物チェックの優先
家具・カーテン・その他の業者を紹介されることが多いが、その打ち合わせ に時間を取られないよう、あくまでも建物チェックを優先させる。
マイホーム購入の
アドバイス
(マンション・戸建て住宅)
1.周辺環境のチェック項目
駅・バス停から近く、通勤・通学が楽。
スーパー・コンビニが近く、日用品の買い物に便利。
クリニック・病院など、家族に必要な医療機関が揃っている。
建物周辺に騒音を出す店などがなく、閑静。
自動車の通り抜けルートになっていない、安全・安心な街。
水害・がけ崩れなどの危険性をハザードマップなどで調べる。
「こんにちは!」「どちらまで」などの挨拶が、犯罪の少ない町をつくる。
2.マンション購入のチェック項目
清掃など管理状態がしっかりしているか?管理費・修繕積立金は適正か?
共有スペース(ゴミ置き場・駐輪場・郵便受け・告知板など)の状態は?
要所に高性能防犯カメラ・センサーライト等が設置されているか?
窓は網入りガラスか?面格子の構造は堅固か?
空き巣の侵入の足場となるような、塀、置物、雨樋などはないか?
電気室が地下にある場合、水害により水没しても停電しない構造か?
新耐震基準による設計か?(1981年6月1日以降の建築確認)
3.戸建て住宅購入のチェック項目
敷地が道路や隣地より低く、雨水が流入したり、溜まったりしないか?
隣家の屋根の向き(雨の流れ)、窓の位置(プライバシー)は?
外壁は不燃材(モルタル、金属板、サイディング等)か?
空き巣が隠れやすい、侵入しやすい塀や植木などがないか?
住宅瑕疵保険(新築・既存)の適用を確認する
4.共通チェック項目
リビング:ソファー・TV・本棚・飾り棚などの配置。
ダイニング:食卓の大きさ・椅子の数・カップボードなどの位置
キッチン:壁向き型・対面型・アイランド型等々、無駄のない動線計画。シンクとコンロの左右は?食器棚・食品庫の量・配置。シンク・吊戸棚の高さ。食洗器の位置。冷蔵庫の開き勝手。
洗面脱衣室:洗面台の広さ。洗濯機の種類。リネン棚・ユーティリティ。
浴室:快適さ・性能(給湯・排水能力)・安全性(転倒)。乾燥設備。
トイレ:狭いところでは、わずか10センチの差がゆとりを生む。
玄関・廊下:各室のドアが、ぶつからないよう。
個室:防音(遮音・吸音)に留意されているか。
その他:窓の位置、ドアの向き等、近隣との関係にも留意。外壁、部屋の床、壁、天井などの仕上げ材は選べるか。
IT環境やセキュリティ、ソーラー発電などの設備内容は適正か。
希望に合わせた変更は可能か。
注文住宅(新築)の
アドバイス
(土地選びから完成まで)
1.土地の選定
傾斜地の盛土部分(不同沈下)、埋め立て地(建物の沈下・排水不良)、崖の上・下(土砂崩れ)、河川の氾濫地域(水害)などは避けた方が無難。自治体が発行している、ハザードマップを参考にするとよい。このような土地に建てる場合は、基礎工事費を多めにみておく必要がある。
大雨の時に、道路の水の流れ、敷地内のたまり具合を見る。
不整形な土地は、建物の周りにデッドスペースが生じやすい。
北傾斜の土地でも、上手に設計すれば、日当たりを確保できることもある。
交通の便、ショッピング、環境などは別掲。
2.設計打ち合わせ
インターネット、住宅誌などで共感できる設計者(設計事務所)を探し、その内2~3者と面談して自分に合った設計者を決め、設計契約を結ぶ。信頼できる知人が実際に建てた上で推奨する設計者も安心できる
外観・間取り・仕上げ材・色・雰囲気・設備機器などなど、希望条件を列挙し、何でも設計者に伝えることが大切。家族の意見がまとまっていない部分があっても、そのまま設計者に委ねてかまわない。
住宅誌などで気に入った間取り・写真・インテリアなどを切り抜いて設計者に見せると、好みや考えが伝わりやすくなる。
いわゆるデザイナー設計士は、スタイルを優先するあまり、住みにくい・結露がひどい、などのクレームも多い。
設計・監理料は、工事費の7~15%くらいと設計者によって幅がある。
図面・仕様書をもとに、複数の建築業者から詳細な見積書を集め、設計者と共に検討。その結果、見積金額に10%くらいの差がでることも少なくない。
住宅性能表示制度の高い品質を確保し、長期優良住宅の認定を得ると、フラット35Sの金利低減など、融資・税・自治体からの補助金、などの面でかなり有利になるので設計者と検討すると良い。
3.建築会社(工務店)の選び方
建築地に近い地域で長年続いている工務店は、建築後も何かと心強いが、現在の技術力の程度を、設計者に確認してもらうことが必要。
図面・仕様書をもとに、同じ条件で数社に見積もりを依頼し、設計者と共に見積もり内容を検討するが、必ずしも最安値が良いとは限らない。それぞれの見積書を詳しくチェックすると、その業者が図面を良く理解できているか、日ごろどんな工事をしているか、まで見えてくるものである。
住宅展示場は、業者選びにはほとんど役に立たない。
どのハウスメーカーも、仕上げ材・設備内容など、最高グレードのモデルを展示してあって、自身の予算を考えると参考にならないことが多い。
そこで対応してくれた営業マンの印象で決めることになりかねない。住宅展示場に出展しているのは大手メーカーが多く、モデルハウスの建築費、営業マンの人件費、TVコマーシャルなどに膨大な費用をかけているので、当然その分、建築費は割高になってくる。
4.資金計画
土地代、建築費、設計監理費、不動産諸税、諸手数料、ローン諸費用、等。
自己資金、住宅ローン(フラット35S等)、公的助成金の活用。
前述の住宅性能表示制度や長期優良住宅の認定を受けると利点が多い。
建築後の諸費用、税金、ローン控除、等。
建物を長持ちさせるためには、日ごろの丁寧なメンテナンスが不可欠。
また、大きな災害や、将来の家族構成の変化に応じて、大規模修繕・改造工事に備えた資金計画も考慮しておこう。
現在お住まいの
マイホーム診断
(マンション・戸建て住宅)
1.地盤沈下
沼地や田んぼを埋め立てた所は、家全体が沈下 することがある。 生活用水の排水が悪くなったり、 敷地に雨水が溜まるなどの弊害が生ずる。
大手業者による 13 階建てのマンションが、入居 数年で植栽や駐車場が沈み始めた。埋め立ての 土に、廃材やゴミなどを混ぜていた悪質な例である。
ひな壇造成地においては、切り土部分は元からの 地山なので、沈下する可能性は少ないが、盛り土部分は、転圧が不十分であったり経過年数が浅いと、不同沈下をおこす危険性が高い。
正確な地質調査のもと、最適な地盤改良工事を行う必要がある。工事費も高額になるので、売り主や施工業者と紛争になることが多い。
2.傾斜
建物の傾きは、レーザーレベルを用いて測定する。
床の傾斜(高低差)が、3m くらいの距離間で 3/1000 ( 6帖間の長辺方向で 1cm くらい )以内なら良好。
傾斜が 3/1000~6/1000 で、部分的に凸凹している場合は、施工不良(へた・手抜き)が原因であることが多く、床組みを調整して直せることが多い。
傾斜が6/1000以上で、建物全体に及んでいる場合は、地盤沈下の可能性があり、土壌改良や基礎の造り直しが必要にもなり、大工事となる。
柱や壁が真っすぐに立っていないと、建具に隙間が開いたり、タンスの後ろに物が落ちたりと、日常生活に差しさわりが生じる。
3.強度・揺れ
建築確認が 1981年(昭和56年)6月1日以後の建物は新耐震基準を満たしているはずで、阪神淡路や東日本を襲った大地震や大型台風の被害を見ても、新基準の効果は明らかであった。
災害で倒壊しないまでも、ふだんの強風や地震で建物が揺れるのは、恐ろしいだけでなく、釘やボルトが緩み、全体強度の低下にもつながる。
木造 在来工法 : 柱のホールダウン金物、筋かい金物など、大工工事の施工基準が格段に向上した。3階建ての狭小住宅は揺れが大きい。建設会社によっては、独自の技術を開発しているところもある。
木造 2×4 工法 : 構造用合板の厚み、釘の種類、本数、打ち方などに、職人によりバラつきがみられる。 在来工法と違って、屋根が一番後になるため、木材が 雨に濡れてしまうことが多く、後にカビの発生や、釘のサビの原因になるので注意が必要。
鉄骨造・鉄筋コンクリート(RC)造 : あらゆる基準が 格段に向上した。鉄骨3階建ては、地震では倒れないが、 RC に較べると揺れが大きい。 施工業者による技術力の差が著しく表れるところ。
4.音・振動
外の騒音の大部分は窓から侵入してくるので、窓を二重にしたり、ガラスを複層ガラス等に取り換えることで、ほとんど改善できる。
隣室間・上下階の話し声・TV 等の音や、歩行音・振動の問題は、床・壁・天井の補強と、防音対策(遮音材・吸音材)が必要で、大がかりな工事になることが多い。
特に2×4工法の場合、2階の床組と1階の天井が、直に接しているような工事では、太鼓の皮のように 共鳴して、大きく響くことになる。
冷蔵庫・エアコンなどの振動音は、免振ゴムなどで改善 できることもあるが、基本的には設置場所(床・壁)の 補強が必要である。
洗面器などの水栓をひねる時に発する音は、器具の調整 で止まるが、給水管の固定が緩いと、水流と共振現象を 起こすことがある。
2階のトイレを流す音が大きいのは、排水管に防音材を 巻いていないことが多い。結露の防止にもなるので重要である。
5.床鳴り
フローリングなど、床がギシギシと鳴るのは、材料が 擦れあうからであり、きちんと固定すれば直る。
1階床の場合は縁の下に潜ったり、2階床の場合は1階の天井を剥がしたりと、かなり大ごとな工事になる。
応急的には、床の表面に細い穴をあけ、接着剤を注入する方法もあるが、やはり再発しやすいようだ。
6.建て付け(内部の木製建具)
ほとんどのドアが、枠とセットになっており、乾燥材を使っているため、建具そのものの狂いは少なくなった。
押し入れの襖など、柱に直接あたる引き戸は、少々の隙間なら建具を削ったりして調整できるが、隙間が大きい場合は、敷居が傾斜していることが多いので、床を水平にする工事が必要となる
7.壁のクロスや塗り壁の亀裂
クロスのシワや凹凸は、壁の入隅部などに多く 見られ、糊付けが不十分なことが多く、貼り直すしかない。
石膏ボードの接合部に沿った亀裂は、建物の揺れが原因とも考えられるので、構造チェックをした方が良い。
8.雨漏り
屋根からの雨漏りは少なくなったが、木造住宅にもフラットルーフが増えたため、FRP 防水の施工不良による雨漏りが、特にルーフドレイン周りに多い。
24時間換気などで、外壁に吸気口・排気口が増え、その周りからの雨漏りが多くなった。窓はもちろん、外壁の開口部には コーキングを入念に施すこと。
9.結露・カビ
湿度の高いところに温度差の大きい物体があると、高温の側に結露が生じ、放置しておくと、カビが発生する。
冬、外が寒いとき、温かい室内側の窓ガラスがびっしょりと濡れるのは、代表的な現象。 これを防ぐには、二重窓にしたり、木製やプラスチックのサッシュにしたり、ガラスを複層ガラスに替えることが有効である。
夏、外が暑いとき、冷房で室内が冷えると、外壁の内部でも結露が発生することがある。 外からは見えないため発見は難しく、室内側にカビが現れたり、カビ臭く感じたりして気が付く。これも断熱材の問題である。
既存の外壁に、あとから断熱材を入れるのは、かなりの大工事になる。外側から施工するか、内側からが良いかは、仕上げ材が剥しやすい方で選ぶ。
これらの工事費には、多くの自治体が、省エネの助成金を交付している。
10.害虫ほか
白蟻は湿気の多いところを好むので、床下の換気を十分におこなう。
木造住宅の土台などには、防蟻剤を塗る。
建物の周りに朽木などが放置されていると、白蟻の中継物になる。
ゴキブリが通れる隙間を塞ぐ。排水トラップの水が枯れないようにする。
建物の周りに、ねずみが巣を作りそうな、植木鉢などを放置しておかない。
相談員(能村克哉)プロフィール
TBS「素敵なあなた」出演
昭和48年 1級建築士登録 第82791号
東京都千代田区 他にて30年以上、建築設計事務所を経営
住宅・マンション・個人別荘・会社保養所・医院・店舗・事務所ビル等、500棟近くの設計・監理を手がける。
国土交通省・東京弁護士会等より「建築紛争処理委員」を委嘱され、調査・鑑定・裁判を通して、多くの建築トラブルを解決。
「欠陥住宅相談室」を併設。新聞・TVに執筆・出演も多く、消費者への適切なアドバイスとともに、建築業者への技術指導にも努め、平成10年、日本建築士連合会 会長表彰を受ける。
相談例